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思い出してしまうようなものやことは全て目の前からなくしたくて、

とにかく彼女の置いていったものは全て捨て、匂いのする枕などは洗濯をしている。

当たり前だけど、そんなことしても忘れたりできないし、いっこうに楽にならないけど。

 

本当に信じられない、今でもよくわからない幻みたいな出来事のように思う。

いっそ夢だったら良かった。

自分としては本当の愛を感じたし、その展開の早さについていけなかった。

自分が掴もうとした頃にはもう過ぎ去ってしまっていて、

そもそも僕が言ってしまった「合わない」というたった一言で全部すっかりなくなってしまった。

頑張ったけど取り返しはつかなかった。

 

ああいう高速で熱のある愛、みたいなのは僕は本当にはじめてで、衝撃だったし

もう二度と、彼女からしか感じられないことだったと思う。

もう二度とそれが戻ってこないのは本当につらい、こんな気持ちになるなら知りたくなかった。

 

過ぎ去ってから、今まで自分が本当に自分をごまかしてなんとなくやり過ごしてきたことに気付き、

過ぎた後、何もない自分に途方に暮れている。

本当に何もない、これから自分どうやって生きていくんだろうか。

 

絵を描く気にもなれなかったので、ほったらかしにしていた事務的な作業をとにかく進めた。

レシートの整理をしていたのだけど、彼女と初めて会った晩に行ったお店のレシートが出てきて、あの頃はこんな風になることを知らなかった、とつらくなった。

それに本当に2ヶ月もたっていなくて、改めて驚いた。

レシートの整理は、そのときのことを細かく思い出してしまうので、とにかくつらかった。

大量にあったのだけど、とにかく早く処分したくて一気に進めた。

 

昼に、診断書をもらうために病院に行った。

帰り道、彼女に渡せたらいいなと考えて、苺大福を買った。

ラインでメッセージを送ってみたけど、返ってこなかった。

 

僕は馬鹿だからわからないのだけど、またねというのはやっぱりその場をやり過ごすためのただの言葉で、

あれは一生の別れだったのかもしれないし、

今はとにかく疲れてるから話したくないだけかもしれないし、

よくわからない。

メッセージを送った瞬間は、まだ彼女と通じてる気になって

気持ちがすっと軽くなったけど、返ってこないのがわかると一気に重くなった。

馬鹿だ。

 

弟が言った通り、本当にただ時間だけが解決してくれることなんだろうと思うけど、

その時間が過ぎた後も、やっぱり彼女がもういないのはとてもとても悲しい。

 

最後になる前に会った日、夜ベッドの中で「とてもとても好きだよ」と言い合ったのは何だったろう、と毎晩考えてしまい、

頭があつくなって眠れない夜が続いている。

 

彼女の住む駅は2駅隣で、乗り換えでよく利用する駅なので、

降りる度に思い出してしまってつらい。

彼女のような恰好をしている大学生みたいな子が多いので、

思い出してしまってつらい。

僕は今となっては、もういいことしか思い出せないので、

どこでこんなにもすれ違ってしまったのかも、はっきりと掴めなくてつらい。

そのせいで、未だにやり直せる気がしてしまう。