すっかり蝉が鳴き始めていよいよ夏です。

ちょっと前までは涼しいのに蝉がないていて、それで変な気分…夏を夢想しているときの切なさが現実空間にあらわれた感じで

妙な気分になっていたのだけど、もう日は強いし暑いしで、気づいたらもうすっかり本物の夏だよ!

 

夏のことは、夏になる前に夏のことをおもっているときが、一番強く感じられる。

それは夏以上の夏だと思っていて、僕はもう少しそれを感じていたかったのに、もう夏だ。

夏が始まったら、夏が終わりに向かう。もうすぐ8月だし、夏はほんとに命が短いな、蝉と同じ。蝉は夏そのものだ。

 

昨年公園できいた蝉の鳴き声はまるでサイダーのはじける音みたいで、

それがシャワーのように降り注いでいた。

そのとき、隣にいて、『触れてみたいな』と思っていた人は今は僕の恋人だ。

 

そうやっていろいろ感じていたせつなさが現実のものになって、

それで僕は昨年と比べてすっかり穏やかで丸い。

 

昨年から崩していた体調も1年かかってようやく回復した。

すっかりがりがりに痩せてしまったけど。

 

自分の展示も始まって、始まるまではこれは間に合うのか…形になるのか…と不安だったけど、きちんとおさまってくれた。今年の夏のはじまり。

けど、やることが多いのはそのままで、来月にも展示を控えてるし、頼まれている制作もたんまりとある。

忙しくて寝ちゃう。

 

僕の思っていた夏が、どこか他の人も持っているというようなことを最近思えるようになってきて、

それは僕の夏を薄れさせる。

 

昨年とは思い出すことも変わっている。

 

僕は相変わらず思い出すばかりの人になっている気がするけど、

前を向いていたいと思っている。

それはきっと恋人がいるからでしょう。

今までに現実に見えなかった景色がそこにあって、

本当にずっと長い夢の中にいるようです、毎日。

 

僕は今年の夏を、またここに強く刻みたい。

こういう気持ちはこれから先も、たぶんずっと自分の中をゆっくりと漂い続けて

ふと顔を出すんだ。